情報源: Elastic公式サイト – ブラジル警察機関の顧客事例
はじめに
300万人以上の住民を抱えるブラジルの大都市圏において、警察機関が最先端の技術を活用した捜査システムを導入しました。Elasticsearchのベクトルデータベースを中心とした顔認証技術により、犯罪捜査の効率が大幅に改善し、市民の安全確保に大きく貢献しています。本記事では、この取り組みについてご紹介します。
※ベクトルデータベースとは、画像や文章の特徴を数値(ベクトル)として保存し、似ているものを高速に探せる仕組みです。
導入前の課題
時間のかかるデータベース検索
導入前、警察官は膨大なデータベースを検索するために数時間から数日を要していました。このデータベースには、文書、写真、動画など、数十億件もの情報が含まれており、効率的な検索システムの構築が急務でした。
本プロジェクトを担当した技術責任者は次のように語っています、「警察官たちはデータベースの検索に多くの時間を費やし、本来の犯罪防止や現場対応向上という任務から離れてしまっていました。私たちは検索時間を数分、あるいは数秒にまで短縮する必要があったのです」
スケーラビリティの問題
都市の成長と共に、データ量は増加の一途を辿っていました。数百万件の検索クエリと数テラバイトの写真、文書、デジタルメディアを処理できる、スケーラブルなアーキテクチャが求められていました。
Elasticsearch導入によるソリューション
ベクトルデータベースを活用した顔認証システム
ブラジルの警察機関は、Elasticsearchのベクトルデータベースを顔認証技術の基盤として採用しました。このシステムにより、警察官は現場で撮影した写真を使って、迅速かつ正確にデータベース検索を実行できるようになりました。
カスタムモバイル・ウェブアプリケーションとElasticsearchの連携
ブラジルの公共安全組織は、警察官が簡単に写真を撮影・アップロードできるよう、専用のモバイルアプリケーションとウェブアプリケーションを開発しました。このアプリと画像データベースの橋渡しをするために、強力なベクトル検索機能を持つElasticsearchが採用されています。
導入効果
検索時間の大幅な短縮
以前は数時間から数日かかっていたデータベース検索が、現在では数分から数秒で完了するようになりました。これにより、警察官は迅速な意思決定を行い、事件現場でより効果的に対応できるようになっています。
犯罪者の迅速な特定と逮捕
導入初期段階から、顕著な成果が現れています。従来のシステムでは、データベース検索に時間がかかりすぎるため、その間に容疑者が現場から逃走してしまうケースがありました。しかし、Elasticsearchの導入後は、現場で撮影した写真を使って数秒から数分で容疑者を特定できるようになり、その場で逮捕に至るケースが増えています。
市民サービスの向上
顔認証技術は、犯罪捜査だけでなく、市民支援にも活用されています。
印象的な事例: ある警察官が、約2週間行方不明になっていたアルツハイマー病の高齢男性を発見しました。警察官が写真を撮影し、行方不明者データベースで検索したところ、すぐに男性の名前と連絡先が判明しました。
技術責任者によると、「ご家族は非常に喜び、ほっとされています。数日間希望を持って待っていたご家族に、この良い知らせを伝えることができました。」
また、犯罪被害者の迅速な身元確認により、遺族や愛する人々に確実な情報と心の安らぎを提供することも可能になっています。
現場での捜査活動の強化
Elasticsearchの導入により、警察官はコンピュータの前で過ごす時間が減り、地域社会での重要な捜査活動により多くの時間を割けるようになりました。これは、犯罪予防と公共の安全において、極めて重要な改善です。
技術的アーキテクチャの特徴
大規模データ処理能力
Elasticsearchのベクトルデータベースを採用したアーキテクチャは、以下の能力を備えています。
導入規模:
- 13ノードで構成される大規模なElasticsearchベクトルデータベース
- 6テラバイトの膨大なデータを保管
このシステムは、数百万件の検索クエリと数テラバイトの写真、文書、デジタルメディアを処理できる高いスケーラビリティと拡張性を実現しています。
高速ベクトル検索
ベクトル検索技術により、画像の特徴を数値化し、類似画像を高速で検索することが可能になっています。これが、顔認証システムの高速化と精度向上の鍵となっています。
まとめ
ブラジルの警察機関によるElasticsearchの導入事例は、最先端のテクノロジーが公共安全の分野でどのように活用されているかを示す優れた例です。これは、決して特別な国・特別な事情だから成立したわけではありません。同じ構造の課題は、日本の自治体や公共機関にも数多く存在します。
たとえば、日本では次のようなデータが日々蓄積されています。
- 防犯カメラの画像・動画データ
- 行方不明者や高齢者に関する記録
- 災害時の被災者情報、安否確認情報
- 住民対応の履歴、問い合わせ記録
これらは「量が多い」「形式がバラバラ」「必要なときにすぐ探せない」という共通の課題を抱えています。
Elasticsearchを検索基盤として使うと、これらのバラバラなデータを一元的に検索・分析できるようになります。
- テキスト(記録・報告書・メモ)
- ログ(システム・アクセス履歴)
- 画像や動画から抽出した特徴データ
を1つの検索エンジンでまとめて探せるため、迅速な横断検索が可能になります。これは日本の自治体、警察、消防、防災部門にとっても非常に現実的で、かつ導入効果を説明しやすい価値といえます。
本記事は、Elastic社の公式カスタマー事例を基に作成されました。詳細については、Elastic公式サイトをご覧ください。


