その資産台帳、セキュリティ調査に使えますか? Elasticで広げるIT資産管理

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Elasticといえば、Elasticsearchによる検索・ログ分析、Elastic Securityによる脅威検知、Elastic Observabilityによるシステム監視を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

しかし、Elasticには、企業のIT資産を把握し、セキュリティ対策に活用するための機能も備わっています。例えば、次のようなことが可能です。

  • 社内PCのOSやインストール済みソフトウェアを調べる
  • PCやサーバーから情報を収集するElastic Agentを一元管理する
  • クラウド上のサーバーやストレージを把握する
  • USBストレージの利用を制限する
  • 社内PCに導入されたAI関連ツールを調査する
  • 重要なPCやユーザーのセキュリティリスクを評価する

これらの一部は、専用のIT資産管理製品を新しく導入しなくても、Elasticの既存機能で対応できます。特に、すでにElasticを導入している企業なら、まだ活用していない機能を使うことで、資産の可視化や保護の範囲を広げられる可能性があります。

また、専用のIT資産管理製品を利用している場合も、Elasticと組み合わせることで、資産情報をセキュリティ調査に役立てられます。

本記事では、Elastic Stack 9.5.5を対象に、IT資産管理に役立つ10の機能を「何ができるのか」「なぜ使う価値があるのか」という視点で紹介します。設定手順ではなく、機能の役割と活用場面に焦点を当てます。機能や提供条件は、2026年10月21日時点の公式資料を参照しています。Integration(データ収集などの機能を追加する連携パッケージ)はStack本体とは別に更新されるため、導入するパッケージのバージョンと対応条件も確認してください。

IT資産管理とは?なぜ今、重要なのか

IT資産管理とは、企業が保有・利用しているPC、サーバー、ソフトウェア、クラウドサービスなどを把握し、適切な状態に維持することです。

従来は、PCの台数、購入日、利用者、ソフトウェアライセンスなどの台帳管理が中心でした。現在は、AWSやAzure上の仮想マシン、SaaS、外部AIサービス、ローカルLLMなども管理上の関心事になっています。

管理対象が増えると、次のような課題が生まれます。

よくある課題起こり得る問題
どのPCに何が入っているか分からない脆弱性のあるソフトウェアを見落とす
管理していないサーバーが存在するセキュリティ監視の対象から漏れる
USBストレージの利用を把握していない情報持ち出しのリスクが高まる
社内のAI関連ツールを把握していない承認されていないツールの導入を見逃す
重要な資産を区別できていないセキュリティ調査の優先順位を決めにくい

つまり、IT資産管理は単なる台帳作成ではなく、セキュリティ対策の土台でもあります。

ただし、IT資産管理には購入・契約・ライセンス・廃棄などの業務も含まれます。Elasticが得意なのは、その中でも資産に関する情報収集、可視化、セキュリティリスクの分析・保護という領域です。

IT資産管理に役立つElasticの10の機能

ここでは、独立した製品だけでなく、製品に含まれる個別機能や、複数の仕組みを組み合わせた活用方法も含めて10項目を紹介します。

IT資産管理に役立つElasticの機能の全体像

情報を集める

IT資産を把握するには、まずPCやサーバーから情報を取得する必要があります。

Elastic AgentとFleet:情報を集めるAgentを一元管理する

Elastic Agentは、PCやサーバーにインストールし、ログやシステム情報などを収集するためのプログラムです。Fleetは、登録されたElastic Agentの設定や稼働状態をまとめて管理する仕組みです。

操作には主にKibanaを使います。Kibanaは、Elasticsearchに保存されたデータの検索・可視化や、Elasticの各種設定を行うためのWeb画面です。

例えば、複数拠点のPCにElastic Agentを導入すれば、KibanaのFleet画面からAgentの接続状態、バージョン、適用中の設定などを一覧で確認できます。管理者はPCに直接接続しなくても、収集するログの種類や設定を変更できます。

どんなときに役立つ?

海外拠点を含む多数の端末で、ログ収集の設定がそろっているか、Agentが正常に動作しているかを確認したい場合です。

ただし、Fleetが管理するのは基本的に登録されたElastic Agentです。AgentのないPCを自動発見したり、PCの購入・廃棄まで管理したりする製品ではありません。

Osquery Manager:PCの中身を調べる

Osquery Managerは、PCやサーバーに対してSQLに似た形式の問い合わせを行い、端末内の情報を調査する機能です。Windows、macOS、Linuxを対象に、OS、インストール済みソフトウェア、実行中のプロセス、CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークインターフェースなどを確認できます。

問い合わせはその場で実行するだけでなく、定期的に実行することもできます。収集結果はElasticsearchに保存し、検索や分析に利用できます。

どんなときに役立つ?

特定のソフトウェアに重大な脆弱性が見つかったとき、どのPCにそのソフトウェアがインストールされているか調べるための情報を取得できます。

一方、Osqueryの取得結果がそのまま完成された資産台帳になるわけではありません。例えば、ソフトウェアが削除されたことを正確に管理するには、前回と今回の調査結果を比較するなど、追加のデータ整理が必要です。

資産を把握する

Asset Inventory:認識している資産を一覧表示する

Asset Inventoryは、Elastic Securityが認識しているホストやサービスなどの情報を一覧で確認するための機能です。資産の種類ごとの件数や、個々の資産情報を画面上で確認できます。

ここで重要なのが、背景にあるEntity Storeという仕組みです。

Entity Storeは、Elasticsearchに取り込まれたログや認証情報、アラートなどから、「どのホスト・ユーザー・サービスの情報なのか」を識別し、対象ごとに情報を整理して保持する仕組みです。これにより、分析のたびに大量のログを一から読み直さなくても、対象の情報を参照しやすくなります。

Entity Storeとは何か? Osqueryとはどう違う?

Entity Storeは、Elasticsearchに取り込まれたログや認証システムのユーザー情報、アラートなどから、「どのホスト・ユーザー・サービスの情報なのか」を識別し、対象ごとに情報を整理して保持する仕組みです。これにより、分析のたびに大量のログを一から読み直さなくても、対象の情報を参照しやすくなります。

例えば、あるサーバーについて、Elastic Defendのセキュリティイベントや、別のシステムから届いたログがElasticsearchに保存されているとします。host.idやhost.nameなどの識別情報が適切に含まれていれば、Entity Storeはそのサーバーを一つの分析対象として扱い、関連する属性やリスク情報を管理する基盤になります。

Osqueryとの違いは次のとおりです。

Osquery ManagerEntity Store
主な役割PCから情報を調査・収集する収集済みの情報をホスト・ユーザー・サービスごとに整理する
情報を扱う場所PCやサーバーの内部Elasticsearchに保存されたログや資産情報など
活用例PCに入っているソフトウェアを調べるサーバーの識別情報やリスク情報をまとめて参照する

つまり、Osqueryは情報を集める手段の一つで、Entity Storeは集まった情報をセキュリティ分析に生かすための基盤です。両者は競合する機能ではありません。

なお、Osqueryで取得したあらゆる項目が自動的にEntity Storeへ登録されるわけではありません。Entity Storeが対象を識別できる適切なフィールドとデータが必要です。Osqueryを使わず、Elastic Defendや認証システムなどのデータからEntity Storeを利用することもできます。

どんなときに役立つ?

セキュリティ調査の際、認識されているホストやサービスを一覧から見つけ、その情報を確認したい場合です。

ただし、Asset Inventoryを有効にするだけで、社内のすべてのIT資産が発見・登録されるわけではありません。表示される資産は、取り込まれたデータやEntity Storeなどの状態に左右されます。9.5.5ではTechnical Previewとして提供されているため、導入前に提供状況を確認してください。

Cloud Asset Discovery:クラウド上の資産を発見する

Cloud Asset Discoveryは、AWS、Azure、Google Cloud(GCP)にあるクラウドリソースの情報を収集する機能です。例えば、AWSのEC2やS3、Azureの仮想マシン、Google Cloudのストレージなどを対象にできます。

クラウドアカウントを接続すると、読み取り権限を利用してリソースの構成情報を確認し、公式ドキュメントによれば24時間ごとに評価します。

どんなときに役立つ?

複数のクラウド環境を利用しており、どのようなサーバーやストレージが存在するかを横断的に把握したい場合です。

9.5系ではPreview機能です。利用にはクラウド側の権限設定が必要で、セルフマネージド環境では適切なサブスクリプションも必要です。

Shadow AI Discovery:社内PCのAI関連ツールを調査する

業務に便利なAIツールでも、管理部門が導入状況を把握していなければ、セキュリティやガバナンス上の課題になる可能性があります。

Shadow AI Discoveryでは、Osquery Managerに用意されたAI関連ツール調査用のPackを活用します。Packとは、複数の調査クエリをひとまとめにしたものです。

調査対象には、ローカルLLM、AIコーディングエージェント、MCPサーバー、AI関連のブラウザ・エディター拡張機能などがあります。対応する調査結果は「Shadow AI Overview」ダッシュボードでも確認できます。

どんなときに役立つ?

会社が承認していないローカルLLMやAIコーディングツールが、社内PCに導入されていないか確認したい場合です。

ただし、ChatGPTなどのWebサービスをブラウザから利用している場合、その利用をすべて発見できるわけではありません。また、AIに入力した質問やAIからの回答を記録する機能ではありません。

リスクを評価する

Entity Analytics:優先して調査すべき資産を見つける

Entity Analyticsは、ホスト、ユーザー、サービスなどのセキュリティ上のリスクを評価するための機能群です。

その一つであるリスクスコアでは、検知されたセキュリティアラート、資産の重要度、Watchlistへの所属などを考慮し、対象のリスクを0〜100の数値で評価します。スコアは攻撃を受ける確率ではなく、調査の優先順位を決めるための指標です。

どんなときに役立つ?

複数のサーバーでセキュリティアラートが発生した場合、リスクスコアや業務上の重要度を参考に、どれから調べるべきか判断できます。

スコアは無条件にすべてのPCに付くものではありません。対象を識別できるデータや、スコア計算に必要な情報があることが前提です。

Watchlist:重要な資産やユーザーをグループ化する

Watchlistは、特に注意して監視したいホストやユーザーなどをグループ化する機能です。例えば、重要サーバーや管理者アカウントをグループ化し、その所属をリスクスコアに反映できます。

どんなときに役立つ?

一般社員のPCと、重要な顧客情報を扱う管理者のPCで似た不審な操作が検知された場合、業務上の重要度も考慮して調査の優先順位を決めたいときです。

Asset Inventoryが「何を認識しているか」を見る機能なら、Entity AnalyticsとWatchlistは「何を優先して調査するか」を判断するための機能と言えます。

端末を保護する

Elastic Defend:PCやサーバーを脅威から守る

Elastic Defendは、PCやサーバーで発生する不審な動作を検知・防御する機能です。例えば、マルウェア、不審なプロセスの実行、ファイルやネットワークに関するセキュリティイベントなどを扱えます。

どんなときに役立つ?

特定のPCで不審なPowerShellの実行が検知された場合、関連するプロセスや通信の情報を調べ、何が起きたかを確認するのに役立ちます。

ただし、Elastic DefendはすべてのPC操作やファイルコピー履歴を完全に記録する製品ではありません。

Device Control:USBストレージの利用を制御する

Device Controlは、Elastic Defendに含まれる外部USBストレージのアクセス制御機能です。WindowsとmacOSに対応し、USBメモリや外付けストレージの利用を制限できます。

Windowsの9.5系では、USBストレージに対して「すべて許可」「読み取り専用」「プログラム実行を禁止」「すべてブロック」などのアクセスレベルを設定できます。OSや接続機器の種類によって制御可能な範囲には違いがあります。

ここで利用するのがTrusted Devices(信頼済みデバイス)です。これは組織のセキュリティ管理者が利用を許可し、Device Controlの制限から例外として登録した外部ストレージを指します。Elastic社がそのUSBストレージの安全性を保証するという意味ではありません。

例えば、原則としてUSBメモリの使用を禁止しながら、業務に必要な会社支給のUSBメモリだけを許可できます。例外は管理対象の端末全体、または特定のElastic Defendポリシーに適用できます。

どんなときに役立つ?

私物USBメモリによる情報持ち出しのリスクを減らしつつ、必要な業務用USBストレージは使えるようにしたい場合です。

Device Controlのダッシュボードでは、収集された接続試行やブロック結果を確認できます。ただし、USBへのファイルコピー内容をすべて追跡するDLP(情報漏えい対策)機能ではありません。また、新しいポリシーではUSBストレージが広くブロックされる設定になり得るため、本番導入前にポリシーと例外設定を確認する必要があります。

Elastic自身もElasticsearchをIT資産管理に活用している

実は、Elastic自身も社内の情報セキュリティ対策のために、Elasticsearchを使った資産管理基盤を構築しています。

2024年9月の公式ブログでは、100万件以上、約60種類の資産レコードを扱っていると紹介されています。対象はPCやサーバーだけでなく、SaaS、クラウドリソース、ユーザーID、権限、認証情報、GitHubリポジトリなどにも及びます。これは2024年当時の公表値です。

この事例で注目すべき点は、資産情報を単なる管理台帳としてではなく、セキュリティの検知や調査に活用していることです。

例えば、アカウントが無効化されたユーザーについて、ほかのシステムで関連するアクティビティがないかを調べる検知例が紹介されています。アカウントの状態や利用先の情報を組み合わせることで、無効化が徹底されていない可能性を見つけやすくなります。

ただし、これはElastic社内の情報セキュリティチームが独自に構築した資産管理基盤です。Elastic Stackの標準機能を有効にするだけで、同じ仕組みが完成するわけではありません。

この事例が示しているのは、資産情報をセキュリティの判断材料として利用する価値です。

参考:Elastic公式 — Inventory to insight: How Elastic’s asset inventory powers InfoSec use cases

すでにIT資産管理製品を導入している企業にも価値がある

ここまでElasticの機能を紹介してきましたが、専用のIT資産管理製品をすでに利用している企業も多いでしょう。

その場合も、既存製品が持つ「誰の・どの業務の資産か」という情報を、Elasticで見つけた「何が起きたか」と結び付けることに価値があります。例えば、同じ不審な操作でも、対象が検証用PCなのか、重要な顧客情報を扱う業務用PCなのかによって、確認すべき範囲や対応の優先順位は変わります。既存製品を活用しながら、その情報をセキュリティの判断材料にできます。

専用のIT資産管理製品とElasticは何が違う?

専用製品は、PCの利用者、ソフトウェア構成、ライセンス、製品によっては操作履歴などを管理できます。一方、Elastic Securityは端末・ネットワーク・認証・クラウドなどから集めたイベントの検索・分析や脅威検知を得意としています。

専用IT資産管理製品から得られる情報の例Elasticで分析できる情報の例
どのPCを誰が利用しているかそのPCでどのようなアラートが発生したか
どのソフトウェアが導入されているか関連する不審なプロセスや通信はないか
PCの構成や管理状態セキュリティ上のリスクが高まっていないか
製品によってはファイル操作やUSB利用の履歴別のシステムのイベントとあわせて何が起きたか

両者の機能には重複もありますが、役割を組み合わせることで調査を深められます。

例えば、不審なPowerShellの実行を調査する場合

ある社員のWindows PCで、不審なPowerShellの実行が検知されたとします。PowerShellは管理作業にも使われるため、実行されたという事実だけで攻撃とは判断できません。どのような実行だったのか、誰のPCで起きたのか、現在も不審な動作が続いているのかを確認します。

ここでは、対象PCにElastic Agentと必要なIntegrationが導入され、関連するイベントの収集と各機能の設定が済んでいる場合の、調査の組み合わせ例を示します。実測した検証結果ではありません。

調査の流れ使う機能・情報確認できること・判断に役立つこと
① 何が起きたかを調べるElastic Defend収集済みのプロセスや通信イベントから、PowerShellの起動元、コマンドライン、関連する通信などを確認する。どの情報が残っているかは収集設定に左右される
② どの資産で起きたかを確認するAsset Inventoryと既存のIT資産管理製品Asset Inventoryで認識されている対象PCの情報を確認し、既存製品の台帳から利用者・所属部門・業務用途を調べる
③ 追加調査できる状態かを確認するElastic Agent・FleetFleetで対象PCのAgentの接続状態、適用ポリシー、Osquery Managerの設定を確認する。Agentが接続できていなければ、その場で最新の回答を得られるとは限らない
④ PCの現在の状態を調べるOsquery Manager現在実行中のプロセス、現在のネットワーク接続、インストール済みソフトウェアなどを追加調査する。過去の実行履歴は①で収集済みのイベントとあわせて確認する
⑤ 調査の優先順位を判断するEntity Analytics・Watchlist関連するアラートを基に計算された対象PC・ユーザーのリスクスコアや、重要資産・管理者などのWatchlistへの所属を参考に、ほかの調査対象との優先順位を判断する

Microsoft 365やGoogle Workspaceなどの監査ログも取り込んでいれば、クラウド上の操作を含めて調査できる可能性があります。

ただし、製品を導入しただけで、これらの情報が自動的につながるわけではありません。 必要なデータを取り込み、PC名やユーザーIDなどを使って同じ対象の情報を関連付ける準備が必要です。また、取得できる操作ログの種類は製品・契約によって異なります。

既存製品の情報をElasticに取り込める?

取り込み方法は製品によって異なり、API、CSVファイル、Syslogなどの出力機能を利用するケースが考えられます。

例えば、ServiceNowにはElasticの公式インテグレーションがあり、CMDB(システムの構成情報を管理するデータベース)やハードウェア台帳の情報を取得できます。ほかの製品も、提供されているデータ出力手段に応じて連携を検討できます。

なお、Elasticに保存しただけでは、すぐにすべての情報が関連付くわけではありません。PC名やユーザー名などの表記をそろえ、必要に応じてECS(Elastic Common Schema:Elasticが定める共通フィールド形式)に合わせると、横断的に検索・分析しやすくなります。

ログの取り込み量、保存期間、個人情報へのアクセス権限にも注意が必要です。

Axoniusとの公式インテグレーションも登場

Axoniusは、複数のIT管理・セキュリティ製品から端末、ユーザー、SaaS、クラウド資産などの情報を集め、統合するサイバー資産管理プラットフォームです。

ElasticにはAxoniusの公式インテグレーションがあり、AxoniusのAPIから資産・セキュリティ関連のデータを取り込み、Elastic上で検索・可視化・分析できます。

例えば、資産管理側では認識されているのにElasticではログが収集されていない端末を探したり、セキュリティアラートが発生した端末に既知の脆弱性がないか調べたりする用途が考えられます。こうした分析には、データの取り込みと関連付けが必要です。

2026年10月時点で、ElasticのAxoniusインテグレーションv0.4.0はTechnical Previewです。 これはAxonius製品全体がPreviewという意味ではありません。また、Axonius自体の契約は別途必要です。

参考:Elastic公式 — Axonius Integration for Elastic

Elastic Agentは、導入台数が増えると費用も増える?

IT資産の対象を増やすうえで、費用も気になる点です。

Elastic Agentは、端末にインストールした台数そのものを基準にライセンス料が増える仕組みではありません。例えば、100台から200台に増やしただけで、台数に比例したAgentライセンス料が発生するわけではありません。

ただし、Agentが増えれば、収集するログの量や必要な処理能力が増える可能性があります。利用するクラスタのリソースや保存容量、契約形態によっては運用費用が増えます。

例えば、ソフトウェア一覧を1日1回取得する場合と、大量のセキュリティイベントを常時収集する場合では、必要なリソースが大きく異なります。

必要な情報を必要な頻度で収集する設計が、費用対効果を高めるポイントです。

利用前に知っておきたいライセンスと制限

今回紹介した機能には、Basicで利用できるもの、有料サブスクリプションが必要なもの、Preview段階のものがあります。

Elastic Stack 9.5.5のセルフマネージド環境を中心に、主な条件を整理します。ライセンスと提供状況は別の概念です。

機能ライセンスの目安提供状況・確認事項
Elastic Agent / FleetBasic利用するインテグレーションごとの条件も確認
Osquery ManagerBasic対応パッケージとAgentの条件を確認
Elastic Defendの基本機能Basic個別の防御機能には契約条件がある
Entity AnalyticsのリスクスコアPlatinum以上データと必要権限が前提
Entity StoreBasic
Watchlist対応するEntity Analyticsの契約が必要Stack 9.4以降に対応
Device ControlEnterpriseElastic Defendのポリシー設定が必要
Asset Inventory関連機能の契約条件を要確認9.5.5ではTechnical Preview
Cloud Asset Discoveryセルフマネージドでは適切な契約が必要9.5系ではPreview。クラウド側の権限も必要
Shadow AI DiscoveryOsquery Managerの利用条件に準ずる対応するPack・Agent・OSが必要

今回の画面確認ではTrialライセンスを使用しました。

また、Preview機能は仕様変更や制約があり得ます。本番導入前には、利用するバージョンの公式ドキュメントと契約条件を確認してください。

Kibanaで紹介した10機能を確認するには

機能Kibanaでのアクセス先
① Elastic AgentAssets → Fleet → Agents
② FleetAssets → Fleet → Agent policies
③ Osquery ManagerData management → Integrations → Osquery Managerを検索。導入後はOsquery画面からクエリを実行
④ Asset InventorySecurity → More → Inventory
⑤ Cloud Asset DiscoveryData management → Integrations → Cloud Asset Discoveryを検索
⑥ Shadow AI DiscoveryOsquery → Packs → AI関連のPackを確認。収集結果はDashboards → Shadow AI Overview
⑦ Entity AnalyticsSecurity → Entity analytics
⑧ WatchlistStack Management → Entity Analytics → Watchlists
⑨ Elastic DefendData management → Integrations → Elastic Defendを検索。導入後はSecurity → Policiesで設定を管理
⑩ Device ControlSecurity → Policies → 対象ポリシー → Policy settings → Device control

利用前に知っておきたいこと

Integrationの追加と、機能の利用は別です。

Osquery Manager、Cloud Asset Discovery、Elastic Defendなどは、Integrationsの画面から探せます。ただし、Integrationを見つけただけで機能が動き始めるわけではありません。利用するには、必要なIntegrationの追加、Elastic Agentへの設定適用、データソースとの接続などが必要です。

メニューが見つからない場合

Kibana上部の検索欄「Find apps, content, and more…」に機能名を入力すると、目的の画面を探せます。

また、いくつかの機能には追加の設定が必要です。

  • Asset Inventory: 表示されない場合は、Advanced SettingsのsecuritySolution:enableAssetInventoryを確認してください。
  • Shadow AI Discovery: Osquery Managerに含まれるAI調査用Packを読み込み、有効化する必要があります。
  • Watchlist: Entity analytics画面のWatchlist選択欄(右上)は、登録済みWatchlistで表示対象を絞り込むためのものです。
  • Device Control: USB接続などのイベントは、Dashboardsから[Elastic Defend] Device Controlを検索して確認できます。管理者が例外的に許可するUSBストレージは、Artifacts → Trusted devicesで登録できます。

画面の構成やメニュー名は、Elastic Stackのバージョン、選択しているSolution View、ユーザーの権限などによって異なる場合があります。 上記はElastic Stack 9.5.5で確認した画面と公式ドキュメントをもとにした参考情報です。実際の利用時には、使用しているバージョンの公式ドキュメントも確認してください。

まとめ

Elasticには、検索やログ分析、セキュリティ監視だけでなく、IT資産の把握や保護にも活用できる機能があります。

Elastic Agent、Fleet、Osquery Managerで情報を集め、Asset InventoryやCloud Asset Discoveryで資産を把握する。Entity AnalyticsとWatchlistで優先して調査すべき対象を考え、Elastic DefendとDevice Controlで端末を保護する。さらに、Shadow AI Discoveryを使えば、社内PCに導入されたAI関連ツールの調査も可能です。

もちろん、これらだけで専用のIT資産管理製品が持つ、購入・契約・ライセンス・廃棄管理などの機能をすべて代替できるわけではありません。

しかし、資産に関する情報とセキュリティイベントを組み合わせて分析できることは、Elasticを活用する大きな価値です。すでに専用製品を利用している企業にとっても、保有する資産情報をセキュリティ対策に生かす余地があります。

IT資産を「把握する」「分析する」「守る」。

参考資料